マスクの下
今日はかなり久しぶりに
ナレーション収録をして来ました。
声帯は筋肉なので、
使用していないとすぐに
衰えてしまうようです。
昨日から発声練習を
念入りにやりましたが、
前半は声がカスカスでした。
久々の収録を終え
ブースを出ると、
番組の1番偉い人が
出迎えてくれました。
元々とても優しい人なので
久しぶりにお会いしただけで
気持ちが和みましたが、
開口一番、
「元気な声を聞いて
本当にほっとしました」
と仰って下さいました。
何度もそう仰って下さいました。
思わず泣き崩れそうに
なってしまい、
堪えるのに必死でした。
マスクで顔を隠せていて、
本当に助かりました。
いちばん本舗の収録が
休止になってから間もなく
ひと月が経とうとしています。
まだ収録を行っていた時期も、
スタッフへは早くから
マスクの着用が義務付けられ、
かなり長い間、
きちんと顔を見られていない
状態が続いています。
さらに、
いちばん本舗のスタッフは
良い意味で(笑)
言葉数の少ない人が多く、
顔の表情が分からない
この時期は特に、
心の通い合いを感じる事を
難しいと感じていました。
また、
これは仕方の無い事ですが、
業務連絡として伝えられる事も
寂しい気持ちになる内容が多く、
私は自然と感情を消して
やり取りをするようになりました。
数年前に敗血症を患った
父を見ている私は、
見えない菌とかウィルスが、
さっきまで
元気いっぱいだった人の鼻先に、
瞬く間に死の世界を置く
恐ろしさを分かっているため、
かなり前から、
手洗い、消毒、マスク、距離、
出歩くな、鼻をほじるな、等々
口やかましく言っており、
マスクで表情も分からず、
反応も少ない
番組関係者に対して、
どこか、
孤立感みたいなものを
勝手に抱きながら今日まで
やり過ごして来たんだなぁと
思いました。気付きました。
きっと今、
多くの人たちが
知らぬ間に
感情にぴっちりと
蓋をしてしまっているんじゃ
ないかと思います。
影響はたっぷり受けていても、
まだこうして仕事をさせて
もらえている自分は、
「つらい」と
口にする事はもちろん、
思う事すら許されないような
気がしていました。
今日は、
たったひと言の
血の流れる、温度を感じる
大きな言葉に、
心の凝りみたいなものを
気付かせてもらって
本当に嬉しかったです。
感謝しています。
マスクで顔が見えない今、
SNSで誰もが自由に
言葉を広げられる割には、
大切な事、本当の思いは
言えていないような気がします。
あれが食べたい、
あそこに行きたい、
これが観たい、
今あるものに感謝、
今出来ることをしよう、
ステイホームを楽しもう。
確かにこれらも、
心の中に本当にある
声かもしれないけど、
心の芯の部分、
怖い、
不安、
焦り、
心配、
イライラ、
寂しい、
泣きたい。
そういう気持ちから
ちゃんと言葉にする事の方が
すごく大事に思います。
ステイホームが
インスタ映えするような
素敵である必要はなく、
まずはちゃんと、
日常といきなり分断された
悲しみや孤独を
しっかり認めてあげようと
決めました。
数年前に、ICUで約2週間、
手厚い治療を受けた父は
おかげ様で生還致しましたが、
当時を振り返ると、
あの経験は本当に本当に..
恐ろしかったです。
それを上回る怖さが
今蔓延しているのかと思うと、
とにかく人と接触をしない事、
手を頻繁に洗う事、
それらを異常なまでにやる以外
正解は無いと感じます。
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